7月、試験勉強の「夏本番」が始まる
梅雨が明けると、東京の夏は一気に牙をむく。連日35度を超える猛暑日が続き、外を歩くだけで体力が奪われていく7月。それでも多くの学生や社会人が、暑さをものともせず机に向かっている。
医師国家試験の受験生にとって、この季節は特別な意味を持つ。例年2月上旬に実施される試験まで、残り半年を切るタイミングが7月だ。マッチングの面接が秋に迫る中、夏をどう過ごすかが合否を左右すると言っても過言ではない。
「わかってはいるんです。でも自宅だと、どうしても体が動かない」。そう語っていたのは、巣鴨の自習室KAKOIに通い始めた22歳の医学生Aさんだ。彼女が抱えていた悩みは、多くの勉強中の人が心当たりを持つ、根深いものだった。
「自宅では寝てしまう」——医学生の切実な悩み
Aさんは現在、都内の医科大学に通う22歳。来年2月の医師国家試験と、秋のマッチング試験という二つの大きな関門を前に、今年の夏を勝負の時期と位置づけていた。
医師国家試験は、出題範囲が膨大なことで知られる。基礎医学から臨床まで、何千ページにも及ぶ参考書を繰り返し解かなければならない。6年間の医学部生活の集大成とも言えるこの試験に向け、Aさんは早い段階から準備を始めようとしていた。
ところが、自宅での勉強はことごとく思い通りにいかなかった。
自宅では寝てしまったりスマホをいじってゴロゴロしてしまったりする。「今日こそ集中する」と思って机に向かっても、気づくと横になっていて、気づくと夜になっている。そんな繰り返しでした。
22歳・医学生 Aさん
医学部の勉強は、ただでさえ孤独な作業だ。授業が終わり、寮や自宅に帰ると、周囲に受験生仲間がいるわけでもない。「やらなければ」というプレッシャーと、「ちょっとだけ休もう」という誘惑が、毎日せめぎ合っていた。
スマホの存在も大きかった。SNSを開けば同期の近況が流れてくる。動画サービスは「次のエピソードを再生しますか?」と無限に誘ってくる。自分の意志だけでこれらを断ち切ることの難しさを、Aさんは痛いほど実感していた。
「有料自習室 巣鴨」で検索した、ある日の決断
転機が訪れたのは、ある午前中のことだった。また机の前で眠ってしまい、気づいたら昼過ぎになっていた。午前中の時間を丸ごと無駄にしたという後悔と、「このままでは本当に間に合わない」という焦りが、同時に押し寄せてきた。
Aさんがスマホで検索したのは「有料自習室 巣鴨」というシンプルなキーワードだった。自宅の近くで、静かに集中できる場所。お金を払ってでも、環境を変えなければという直感があった。
そこでたどり着いたのが、自習室KAKOIの巣鴨駅前店だ。無料体験を申し込み、初めて足を踏み入れた日のことをAさんは今も鮮明に覚えている。
扉を開けた瞬間、空気が違うと思いました。静かなのに、なんか張り詰めている感じ。みんな本気で勉強している空気が、全身に伝わってきて。「ここなら自分も集中できる」と、直感的に感じました。
22歳・医学生 Aさん
Aさんが最初に気になっていたのは「音」だった。カフェや図書館で勉強した経験があったが、生活音や話し声が気になって集中が途切れることが多かった。自習室の静粛な環境は、その悩みをまるごと解消してくれた。
集中を「仕組み化」する道具たち
入会後、Aさんの勉強スタイルは大きく変わった。自習室に来ること自体が「スイッチを入れる儀式」になり、席に座った瞬間から集中モードに入れるようになったという。
さらに彼女が工夫したのは、集中を「意志」に頼らず「仕組み」で維持すること。Aさんが自習室に持ち込む道具を聞くと、徹底ぶりが伝わってくる。
- スマホロックケース……勉強中はスマホを物理的に取り出せないケースに入れ、誘惑を断つ
- Blockin(集中アプリ)……SNSや動画サービスへのアクセスを時間制限でブロック
- studyplus(学習記録アプリ)……毎日の勉強時間を記録し、積み上げを可視化する
- タイマー……25〜30分の集中と短い休憩を繰り返すインターバル学習に活用
- to doリスト……その日こなすべき課題を朝に書き出し、終わるたびに消す
中でもスマホロックケースの効果は絶大だったとAさんは言う。「手が届くところにあるとどうしても触ってしまう。見えないところに置くだけでは甘かった。物理的に取り出せない状態にしてはじめて、本当の意味でスマホから離れられた」。
studyplusで記録を積み重ねると、「今日は◯時間やった」という達成感が毎日確認できる。それが翌日の自習室行きのモチベーションにもなっていった。自習室という「場の力」と、道具による「仕組みの力」を組み合わせることで、Aさんは自宅では絶対に作れなかったリズムを手に入れた。
同じ時期、15歳の中学3年生のBさん(推薦入試に向けて勉強中)も自習室KAKOIで同じような変化を経験していた。「家だと騒音が気になって集中できなかったけれど、ここに来ると自然とページが進む」と話すBさん。年齢も目標も違う二人が、同じ場所で同じような気づきを得ていたのは偶然ではないだろう。環境が人の行動を変えるという、シンプルだが力強い事実がそこにあった。
夏を「貯金」する時間として——Aさんの今
自習室通いを始めてから、Aさんの一日の設計が変わった。以前は「起きたら勉強しよう」というぼんやりしたスタートだったのが、今は「9時に自習室に行く」という具体的なアンカーができた。目的地があることで、朝の行動が驚くほどスムーズになった。
1日の勉強時間も、自宅にいた頃と比べて明確に伸びた。studyplusの記録を見返すと、以前は実質2〜3時間だったのが、自習室に来てからは安定して5〜7時間を確保できるようになったという。
7月の今、Aさんは医師国家試験対策の過去問演習を本格的に進めている。猛暑の中、汗をかきながら巣鴨の自習室に向かう日々。それでも足が向くのは、「ここに来れば集中できる」という確信があるからだ。
夏の頑張りが、2月の本番に直結すると思っています。今は一日一日を「貯金」している感覚。自習室に来るたびに、その貯金が少しずつ増えていく気がして、それが何より支えになっています。
22歳・医学生 Aさん
自宅でゴロゴロしていた頃のAさんは、もういない。「意志が弱い」のではなく、「環境が整っていなかっただけ」——彼女の体験が教えてくれるのは、その一点だ。
勉強の中身より先に、勉強できる場所を選ぶこと。道具と環境で集中を「仕組み化」すること。大きな試験を前にした人に、Aさんの夏は静かに、しかし力強く語りかけてくる。

