11月、受験生にとって最も長い季節がはじまる
11月に入ると、空気がひと段落ちたように冷たくなる。街を歩けば銀杏が色づき、コートを羽織る人の姿が増える。受験生にとっては、この季節こそが「本番前の最後の踏ん張りどき」だ。
共通テストまで残り2か月ほど。私大の出願が動きはじめ、推薦入試の合否が出る頃でもある。模試の結果が気になる、過去問の手応えが怖い、そういった不安が日々の勉強に影を落としやすい時期でもある。
そんな11月を、かつて必死に乗り越えた一人の男性の話をしたい。都内の自習室KAKOIに通い続け、難関医学部医学科への合格を掴んだ22歳の体験談だ。彼が語る言葉は、今まさに追い込みの季節に踏みとどまろうとしているすべての受験生に届くはずだと思う。
家にいると、勉強できなかった
本郷三丁目駅近くの自習室KAKOIを利用したAさんは、当時22歳の学生だった。目標はただひとつ、医学部医学科への合格。しかしその道のりは、想像以上に孤独との戦いだったという。
Aさんが最初に自習室を探したきっかけは、自宅での勉強がうまくいかないことだった。問題は外部からやってきた。家族の生活音や話し声が、勉強の集中を何度も途切れさせた。
誰かがテレビをつける音、廊下を歩く足音、リビングから聞こえてくる会話。勉強をしようとするたびに、意識がそちらへ引っ張られる。静かにしてほしいとお願いするのも、毎回ではさすがに言いにくい。
「家では集中できない」という感覚は、受験生には珍しいことではない。しかしAさんの場合、目指す先が医学部医学科という超難関だっただけに、質の低い勉強時間を積み重ねていくことへの危機感は並ではなかった。

