仮面浪人が選んだ集中の場所

仮面浪人が選んだ集中の場所 | 自習室KAKOI
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6月、梅雨の教室で孤独に闘うひと

6月に入ると、キャンパスは妙に賑やかになる。梅雨の晴れ間に友人と昼食を囲む声、サークルの新歓コンパの話題、夏のインターン情報――そんな会話が至るところで飛び交う季節だ。

大学1年生にとって、6月はようやく大学生活のリズムをつかみはじめる時期でもある。前期試験が視野に入り、少しずつ「今年の夏をどう使うか」を考えはじめる人も多い。

だが、その賑やかな空気の中に、ひとり別の目標を抱えて静かに歯を食いしばっている学生がいる。「仮面浪人」と呼ばれる存在だ。大学に籍を置きながら、別の大学への合格を目指して受験勉強を続ける。華やかなキャンパスライフを横目に、自分だけが違う時間を生きているような感覚。その孤独は、外からはなかなか見えない。

今回は、そんな仮面浪人の日々をKAKOIで乗り越えた18歳のAさんの話を紹介したい。

「周りが楽しそうで、勉強に身が入らなかった」

Aさんは現在18歳。現役で大学に入学したものの、入学後まもなく「やはり別の大学で学びたい」という気持ちが強くなり、仮面浪人を決意した。

授業はこなしながら、放課後や休日は受験勉強にあてる。計画の上では成り立つはずだった。しかし現実は甘くなかった。

周囲が大学生活を楽しんでいるため、熱心に勉強できない。

18歳・大学生(仮面浪人)Aさん

入学直後から友人に誘われる機会は多かった。断り続けることに罪悪感を覚え、「少しだけなら」と顔を出すうちに夜が更ける。翌日は疲れて授業を聞き流し、勉強の時間はまた後回しになる。

自宅に帰ると、気が緩む。スマホをいじり、気づけば2時間が経っている。受験生として過ごした高校3年生の日々に戻ろうとしても、環境がまったく違う。あの頃の緊張感を、どうやって取り戻せばいいのかわからなかった。

「このままでは合格できない」という焦りは日に日に募るのに、行動が追いついてこない。そのギャップが、Aさんの心をじわじわと蝕んでいった。

「帰ってしまえない」環境を、自分に作る

転機になったのは、有料自習室の存在を知ったことだった。Aさんがたどり着いたのが、千石自習室だ。

最初は「お金を払って勉強する場所」という発想に少し戸惑いもあった。しかし実際に席に座ってみると、その理由がすぐにわかった。

出入りが面倒なので、帰ってしまえない。

18歳・大学生(仮面浪人)Aさん

これは一見ネガティブな表現に聞こえるかもしれない。しかしAさんにとっては、これこそが必要な仕組みだった。自宅や図書館では、「もう帰ろうかな」という誘惑がいつでも顔をのぞかせる。でも有料自習室は、せっかく来たのだから勉強しなければという気持ちが自然と働く。

入り口のセキュリティを通り、席に着く。その一連の動作が、「今から勉強モードに入る」というスイッチになった。逆に言えば、「ふらっと帰る」という選択肢が心理的に遠のいた。

そしてもうひとつ、Aさんが効果を実感したのがパーテーションだった。

パーテーションで集中できた。

18歳・大学生(仮面浪人)Aさん

左右を仕切られた半個室の席では、隣の人の動きが視界に入らない。誰かが立ち上がっても、荷物をごそごそしていても、自分の世界が守られている。キャンパスや自宅では常に「周囲の空気」に引きずられていたAさんが、ようやく自分のペースを保てる場所を見つけた瞬間だった。

習慣が変わると、見える景色も変わる

自習室に通いはじめてから、Aさんの日常は少しずつ形を変えていった。放課後に自習室へ直行する流れが定着し、「今日は行こうか迷う」という葛藤がなくなっていった。

仮面浪人として抱える難しさのひとつは、「受験生である」という自覚を維持し続けることだ。大学という環境にいる以上、周囲は受験モードではない。毎日ひとりで気持ちを律するのは、想像以上に消耗する。

自習室に来ると、周りも黙々と何かに向き合っている。資格試験の参考書を広げている人、英語の問題集と格闘している人。それぞれが異なる目標に向かっていても、「ここに来て学んでいる」という共通点が、不思議な連帯感をうみだす。

同じく千石自習室を利用する52歳会社員のBさんは、「来年か再来年の司法書士合格」を目標に毎日通い続けている。Aさんとは年齢も目標もまったく異なるが、毎日席に向かう姿勢は共通している。そういった先輩利用者の背中が、Aさんにとって静かな励ましになっていたという。

Aさんが意識していたKAKOIの使い方を整理すると、次のようになる。

  • 授業後、寄り道せずに自習室へ直行する
  • パーテーション席を使い、周囲の視線を意識しない
  • 「帰りたい気持ち」が起きにくい有料環境を意図的に使う
  • 勉強仲間がいなくても、場の空気から刺激をもらう

特別な勉強法ではない。だが、環境をコントロールすることで、意志力に頼らない仕組みを作った。それがAさんにとっての最大の武器になった。

「仮面浪人」という孤独な選択を、支えてくれる場所

6月は、受験生にとって試練の季節でもある。梅雨の蒸し暑さで体が重くなり、夏の模試に向けた焦りが募る。仮面浪人のAさんにとっては、大学の前期試験も控えながら受験勉強を続けるという、二重の負荷がかかる時期だ。

それでもAさんは今日も席に向かう。パーテーションに囲まれた静かな空間で、参考書と向き合い続ける。周りの友人が夏の予定を語り合う声は、もはや遠い世界の話に聞こえるようになってきた。

「帰ってしまえない」という言葉の裏には、「ここにいれば続けられる」という信頼がある。仕組みに頼ることは、弱さではない。むしろ、自分の性質を正直に見つめた上で、最善の環境を選び取った知恵だ。

仮面浪人という選択は、誰にでも理解されるわけではない。大学に入ったのになぜ、と思われることもある。だからこそ、「ここにいれば勉強できる」という場所の存在が、精神的な拠り所になる。

同じように、「自宅では集中できない」「周囲に流されてしまう」と感じている人は、Aさんだけではないはずだ。意志の問題ではなく、環境の問題として捉え直すこと。その小さな気づきが、勉強習慣を変える最初の一歩になる。

Aさんの目指す合格まで、まだ道のりはある。しかし今日も席に座り続けるかぎり、その道は確実に前に進んでいる。

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この記事を書いた人

松尾 大造のアバター 松尾 大造 代表取締役

インプラス株式会社 代表取締役。自習室KAKOI(かこい)創業者。

大学受験を志す娘の保護者としての経験と、従来の自習室に対する課題意識から自習室KAKOIを創設。文京区を中心に7店舗を展開し、月間1,000人以上の方に利用される学習空間を提供しています。

全店舗の半個室ブース設計、利用プラン、経営戦略のすべてを手掛けており、「学習効果を最大化する環境」の実現に情熱を注いでいます。

利用者の安心安全を最優先し、デスク単位の防犯カメラ設置やデジタルキーによるアクセス管理を業界に先駆けて導入・運用しています。

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