9月、試験まで残り1年を切った秋の始まり
9月に入ると、街の空気がわずかに変わる。真夏の熱気が引き始め、朝晩には涼しさが混じるようになる。受験生にとっては「もう9月か」と背筋が伸びる季節だ。
大学入試だけではない。公認会計士試験の論文式試験が8月に終わると、合否発表を待ちながら次の戦略を立て始める受験生がいる。あるいは今年は短答式のみで終え、来年の論文式に向けて秋から仕切り直す人も少なくない。
27歳の監査アシスタント・Aさんも、まさにそんな9月の入口に立っていた。目標は2027年8月の公認会計士試験合格。カレンダーを見れば、残り約1年。焦りと覚悟が入り混じる、そんな季節だった。
専門学校の自習室まで、毎日電車で通っていた
Aさんは都内で監査アシスタントとして働きながら、公認会計士の資格取得を目指している。仕事と勉強の両立は、想像以上にタフだ。
平日は業務が終わってから勉強時間を確保しなければならない。会計士試験には電卓が欠かせない。自宅のリビングでは音が気になるし、カフェでは電卓をたたくのに遠慮してしまう。だから彼女は、通っている専門学校の自習室を使っていた。
ただ、そこには一つの問題があった。電車で通わなければならないことだ。
今は専門学校の自習室を利用していますが、電車で通う必要があるので、自宅から近い自習スペースを探しています。
27歳・監査アシスタント/Aさん
往復の移動時間は、毎日積み重なれば馬鹿にならない。仕事が終わった後、疲れた体で電車に乗り、専門学校まで向かう。そこで2〜3時間勉強して、また電車で帰る。帰宅は夜遅くなり、翌朝また仕事へ。このサイクルを繰り返すうちに、じわじわと疲弊していった。
「移動時間がもったいない」という感覚は、試験勉強をしている人間にとって特に切実だ。その30分で問題が5問解ける。その1時間でテキストを1章読める。移動しているだけで消えていく時間が、惜しくて仕方なかった。
「自宅の近くに、電卓が使える静かな場所を」
Aさんが条件として探していたのは、シンプルだった。
- 自宅から近いこと(千石駅が最寄り)
- 電卓が使えること
- 静かで集中できる環境であること
この3つを満たす場所が、自宅周辺にあるかどうか。ネットで「自習室」と検索し、自習室KAKOIの千石店を見つけたのはそんな経緯からだった。
カフェや図書館では電卓を出しにくい。公認会計士試験の学習では財務会計や管理会計など、電卓を使った計算演習が日常的に必要になる。そのたびに「音が出てしまう」「周囲の目が気になる」という心理的ストレスがかかるのは、集中力の大敵だ。
自習室であれば、電卓を使っている利用者が他にもいる。音を出すことへの遠慮がいらない。それだけで、どれほど気が楽になるか。Aさんは体験利用の予約を入れた。
体験して気づいた、「近い」ことの絶大な価値
実際にKAKOI千石店を体験してみて、Aさんが最初に感じたのは「静かさ」だったという。専門学校の自習室とは異なる、ある種の緊張感のある静けさ。周囲の人もそれぞれ真剣に取り組んでいて、その空気が自分の集中を後押ししてくれる。
そして何より、帰り道がたった数分というのが想像以上に大きかった。
勉強を終えてすぐ家に帰れるというのは、体力的にも精神的にも全然違います。疲れていても「とりあえず行ってみよう」と思えるようになりました。
27歳・監査アシスタント/Aさん(体験時の言葉より)
社会人受験生にとって、「行くハードルが低いこと」は継続の生命線だ。疲れていても、仕事がたて込んでいる日でも、「近いから行ける」という感覚が習慣を支える。遠い場所に通うスタイルは、エネルギーに余裕があるときは成立するが、余裕がなくなった瞬間に崩れやすい。
Aさんが感じた変化は、勉強時間の量よりも、勉強への「向き合い方」の質だったかもしれない。専門学校の自習室に向かうときは「行かなければ」という義務感が先立っていた。でも自宅近くの場所であれば、「ちょっと行ってみよう」という軽さで動ける。その差が、長い受験期間の消耗度を大きく左右する。
同じ時期、別の悩みを抱えた利用者たち
同じ9月前後のKAKOIには、さまざまな目標を持った利用者が集まっていた。
41歳の学生・Bさん(江戸川橋駅前店)は「国家試験が近いため、また今後も進学するため2年後まで」と長期的な視野で利用を検討。課題として感じていたのは「音」と「集中できるスペースが確保しづらい」こと。自習室ならではの静寂と個人スペースの確保が、勉強の質を根本から変えてくれると話していた。
27歳の医学生・Cさん(巣鴨駅前店)は「医師国家試験合格」という大きな目標を掲げながら、「テレビなどの誘惑と、安心感」が自宅では得られないと語っていた。自習室で過ごす時間には、カフェやリビングにはない「ここは勉強する場所だ」という文脈の力がある。その空気感が、誘惑に負けない心理的な盾になる。
異なる職業・年齢・試験内容でも、「集中できる場所が欲しい」という核心は共通していた。
1年後の試験に向けて、今できることを積み重ねる
Aさんにとって、公認会計士試験の合格は決して近い道のりではない。財務会計論・管理会計論・監査論・企業法・租税法・経営学——短答式・論文式を通じて膨大な範囲をカバーしなければならない。働きながらその学習量をこなすには、毎日の積み重ねしか道はない。
だからこそ「どこで勉強するか」が、合否を分ける要因の一つになりえる。移動に使っていたエネルギーを勉強に回す。疲れた日でも「近いから行ける」を武器にする。電卓をためらわず使える空間に身を置く。一つひとつは小さなことでも、365日分積み重なれば大きな差になる。
Aさんは体験を終え、月額プランでの契約を前向きに検討していた。専門学校の自習室との「二刀流」ではなく、自宅近くのKAKOIを軸に据えるスタイルへの切り替えを考えていた。
9月の涼しい空気の中、試験本番まで残り約1年。やるべきことは分かっている。あとは、それを続けられる環境を整えること。Aさんのその選択は、地に足のついた、現実的な戦略だと思う。
自宅から近い自習スペースを探しています、という一言に、すべてが詰まっていた。勉強の場所を変えることは、勉強への姿勢を変えることでもある。
編集部より
遠くまで通う努力より、毎日続けられる仕組みを作る努力。それが、長期戦を制する社会人受験生の知恵かもしれない。

