9月、夏の試験を終えた社会人たちの「次の一手」
9月になると、街の空気がほんの少し変わる。真夏の熱気がやわらぎ、朝晩には秋の気配が漂い始める季節だ。資格試験の世界では、夏は「決戦の季節」だった。8月には税理士試験や社会保険労務士試験など、社会人に人気の国家資格の本試験が集中する。
試験を終えた人たちは今、安堵と緊張が入り混じる時期を過ごしている。結果待ちの不安を抱えながら、「もっとうまく準備できたのではないか」と振り返る人も少なくない。
そんな中、今年の8月本試験に向けて「最後の追い込み」を自習室KAKOIで過ごした41歳会社員のAさんの話を紹介したい。仕事を抱えながら、どのように集中の場所を確保し、試験に臨んだのか。その軌跡を追った。
主人公:41歳・会社員のAさん、税理士試験に挑む
Aさんは都内の会社に勤める41歳の会社員だ。最寄り駅は高円寺。毎朝の通勤電車に揺られながら、仕事の合間を縫って税理士試験の勉強を続けてきた。
税理士試験は、5科目の合格が必要な難関国家資格だ。一科目ずつ合格を積み重ねていく「科目合格制」が特徴で、社会人受験者も多い。しかし、勉強時間の確保は決して簡単ではない。日中は仕事、夜は疲弊した状態で机に向かう。そんな日々の繰り返しだ。
Aさんが自習室KAKOIの本郷三丁目駅前店に入会したのは、今年6月のこと。8月の本試験まで残り約2ヶ月というタイミングだった。プランは「自由席2ヶ月間(全店舗)」。まさに試験の追い込み期間に合わせた、ピンポイントの入会だった。
「静かに勉強できる場所」を求めて
Aさんがこれまで勉強してきた場所は、主に自宅だった。だが、社会人の自宅学習には落とし穴がある。仕事から帰ると、つい「少しだけ」と横になって気づいたら朝になっている。集中して机に向かっても、家族の生活音や家事の気になりが頭をよぎる。
カフェも試した。しかし、受験参考書と電卓を広げる作業には、カフェのざわめきや混雑が邪魔になった。隣席との距離が近く、電卓を打つことすら遠慮してしまう場面もあった。
「試験が近づくにつれて、もっと静かな場所が必要だと感じました。残り2ヶ月、ここで勝負を決める、という覚悟もあって」とAさんは振り返る。そこでたどり着いたのが、自習室という選択肢だった。
8月の税理士試験に向けた最後の追い込みが目的でした。静かさに特化した環境が必要だと思って探し始めたんです。
41歳・会社員のAさん
Aさんが自習室KAKOIを選んだ決め手は、大きく2つあった。ひとつは「空間の広さ」、もうひとつは「近くに複数店舗があること」だ。
仕事終わりに立ち寄れる場所が一箇所しかないと、席が埋まっていたり、経路から外れていたりしたときに諦めてしまう。複数店舗が使えれば、その日のスケジュールや気分に合わせて柔軟に選べる。全店舗対応のプランはそうしたニーズにぴったりだった。
「追い込み」の2ヶ月間、自習室で何が変わったか
入会後、Aさんは仕事終わりや休日を使って自習室に通い続けた。税理士試験の勉強は、過去問の反復と理論の暗記が中心になる。声に出して理論を確認したり、電卓を叩いたりする作業が不可欠で、「静かさ」は集中の前提条件だった。
KAKOIの自習室は、静かさに特化した設計になっている。Aさんはその環境に「思っていた通りの静けさ」を感じたという。一方で、率直な感想もあった。
静かさに特化してはいたんですが、入口のドアとロッカーの開閉音が少し気になりました。集中してきた頃に、ふっと意識が途切れることがあって。
41歳・会社員のAさん
これはAさんがKAKOIに伝えた正直なフィードバックだ。全体の静けさには満足しつつも、細部の音に敏感になっていたのは、それだけ集中の質を高めようとしていた証拠でもある。本番が近づくほど、神経が研ぎ澄まされていたのだろう。
それでもAさんは通い続けた。「自宅よりはるかにマシ」という現実的な判断もあったが、それ以上に「この場所に来ること」自体がスイッチになっていたからだ。毎日、仕事終わりに自習室の扉を開ける。その行為だけで、頭が勉強モードに切り替わっていった。
ここで、別の利用者のエピソードを紹介しておきたい。巣鴨駅前店を利用した38歳の会社員・Bさん(女性)は、8月末に向けた資格取得を目標に体験にやってきた一人だ。
自宅は気が散るし、カフェは近くにない。自習室というスタイルが自分に合っていると思いました。
38歳・会社員のBさん社会人が自習室を求める理由は、Aさんとも共通していた。自宅でも、カフェでもない「第三の集中場所」が必要だという感覚。それは多くの社会人受験生が抱える切実なニーズだ。
社会人が自習室を選ぶ理由
- 自宅では集中が続かない(気が散る・疲れで眠ってしまう)
- カフェは騒音・混雑・長時間利用しにくい
- 図書館は電卓や参考書を広げにくい場合がある
- 複数店舗対応で、通勤・生活動線に合わせて柔軟に使える
試験を終えて、9月に思うこと
8月の税理士試験が終わり、Aさんは今、結果を待ちながら9月を過ごしている。試験当日、問題用紙を開いたとき、「やれることはやった」と思えたかどうか。その感覚こそが、追い込み期間の勉強の質を測るものさしになる。
Aさんが2ヶ月間で積み上げたのは、勉強時間だけではなかった。「仕事終わりでも、自習室に来れば集中できる」という体験の積み重ねが、自分への信頼になっていった。社会人受験生にとってそれは、試験勉強そのものと同じくらい大切なことかもしれない。
同じKAKOIで税理士試験と異なる資格に挑む利用者もいる。33歳の公務員・Cさんは、友人の紹介でKAKOIに入会し、資格試験合格を目標に6ヶ月間のプランで通い続けている。「完全個室ではない」という点は気になったものの、それでも継続を選んだ理由は、この場所が「集中できる環境」として機能しているからだろう。
異なる年代、異なる職業、異なる試験。それぞれが異なる理由でKAKOIにたどり着き、それぞれのペースで勉強を続けている。
9月の空気は、夏の緊張から少しずつ解放されていく季節でもある。しかし社会人受験生にとって、それは「終わり」ではなく「次の準備の始まり」でもある。結果がどうあれ、試験に向けて環境を整え、通い続けたこと自体が、次のステージへの土台になる。
Aさんが自習室を選んだのは、「静かな環境が欲しかった」というシンプルな理由からだった。しかしその選択は、ただ場所を変えることではなかった。働きながら勉強するという、容易ではない日常の中に、「集中できる時間」を意図的に作り出すことだった。
その積み重ねの先に、合格という結果がついてくる。41歳の会社員が「最後の追い込み」に選んだ場所の話は、同じ状況に立つ誰かにとって、少しだけ背中を押す力になるかもしれない。

