梅雨入り目前、社会人が「最後の追い込み」に挑む季節
6月。関東では梅雨入り宣言が出る時期で、じめじめとした空気が続くようになる。外に出るのも億劫になりがちなこの季節は、不思議なほど「家でゆっくりしたい」という気持ちが強くなる。
資格試験の受験者にとっては、そんな気持ちと戦いながら追い込みをかける時期でもある。5月の連休明けから試験日まで、残り少ない時間をどう使うかが合否を分ける。
「わかってはいるんです。でも家だとどうしても、休んでしまう」。そんな正直な言葉を残してくれたのが、今回の主人公・Aさんだ。春日駅近くの自習室KAKOIを利用した、41歳の会社員である。
仕事をしながら資格試験に挑む40代の社会人が、どうやって自宅という「誘惑の巣」から抜け出し、勉強習慣を立て直したのか。その記録を追う。
自宅で勉強しようとするたびに、気づけばベッドにいた
Aさんが今回挑んだのは、2段階で構成された資格試験だ。まず5月中旬に一次試験があり、通過した場合は6月末に二次試験が待っている。「ひとまず5月中旬が期限。でも受かったら6月末まで続く」という、先の見えない戦いだった。
試験勉強は主に自宅で行ってきた。仕事終わりにリビングのテーブルに座り、テキストを広げる。それが当初の計画だった。
しかし現実は甘くなかった。
本やPC、テレビ、ベッドなど休みたくなる要素があるのが障害です。
Aさん・41歳・会社員
自宅にいると、あらゆるものが「ちょっとだけ休もう」と誘いかけてくる。テキストを開いたそばにスマートフォンが置いてあり、少し疲れたと感じた瞬間に手が伸びる。テレビをつけているつもりはなくても、家族が観ているだけで音が気になる。ベッドは存在しているだけで、休息を約束する呪いのようだ。
「集中できていない自分」に気づいても、その場所を変えることができない。それが自宅学習の本質的な問題だった。Aさんは試験日が近づくにつれ、このまま自宅で勉強を続けることへの焦りを感じ始めた。
「三田線 自習室」で検索して、見つけた場所
転機になったのは、ある夜の検索だった。「自宅以外で集中できる場所はないか」。そう思い立ったAさんは、通勤や移動で使い慣れた路線を手がかりに「三田線 自習室」と検索窓に打ち込んだ。職場や自宅からのアクセスを考えれば、沿線で見つかる場所のほうが続けやすいと考えたからだ。
検索結果の中で目に留まったのが、春日駅近くの有料自習室KAKOIだった。三田線の春日駅からほど近く、仕事帰りにそのまま立ち寄れる立地。写真で見る限り、自宅のリビングとはまるで違う、勉強だけのために整えられた空間がそこにあった。「ここなら、休む理由がないかもしれない」。半信半疑のまま、Aさんは足を運んでみることにした。
「休む要素がない」ことが、最大の武器だった
実際に席に着いてみて、Aさんがまず感じたのは静けさだった。周りには同じように机に向かう人たちがいる。テレビもベッドもなく、声をかけてくる家族もいない。あるのは、自分とテキストと、限られた時間だけ。「やることをやるしかない環境」に身を置いた瞬間、これまで自宅でどれだけエネルギーを浪費していたかを実感したという。
家だと「休む口実」を自分で探してしまう。ここには、その口実そのものが置いていないんです。
Aさん・41歳・会社員
周囲で黙々と勉強する人の存在も、Aさんにとっては大きかった。誰に見られているわけでもないのに、自然と背筋が伸びる。「自分だけが頑張っているわけじゃない」という感覚が、孤独になりがちな社会人の試験勉強を支えてくれた。仕事帰りに春日駅で降り、そのまま机に向かう。その動線が習慣として定着していくのに、そう時間はかからなかった。
場所を変えるだけで、勉強は習慣になる
振り返ってみれば、Aさんに足りなかったのは意志の強さではなかった。必要だったのは、「集中せざるを得ない場所」をひとつ持つことだった。自宅という慣れた空間から物理的に距離を取るだけで、これまで崩れ続けていた勉強習慣が、不思議なほどすんなりと立て直されていった。
梅雨入りを前に、家にこもりたくなる季節。それでも、追い込みをかけなければならない社会人は少なくない。もし「家だとどうしても集中できない」と感じているなら、Aさんのように、まずは通い慣れた沿線で勉強できる場所を探してみるのも一つの方法だ。場所を変えるという小さな一歩が、最後の追い込みを支える大きな武器になるかもしれない。

