6月、試験の夏が始まる前に「環境」を整える
梅雨入りのじめじめとした空気の中、資格試験を目指す人たちの緊張感が少しずつ高まってくる季節。6月は多くの資格試験の直前期が重なり、「もっと早く本腰を入れるべきだった」と焦りを感じ始める人も多い時期だ。
公認会計士、簿記、宅建、FP……試験の難易度に関わらず共通するのは、「勉強時間をどう確保するか」という問題だ。やる気はある。テキストも揃っている。しかし、いざ机に向かっても集中が続かない。そんな経験に心当たりがある人は多いのではないだろうか。
今回紹介するのは、22歳の大学生Aさんの話だ。難関中の難関、公認会計士試験の短答式に合格した彼が、自習室KAKOIをどう活用したか。その軌跡を振り返ってもらった。
「家で勉強できる」と思っていた自分への誤算
Aさんが公認会計士を目指し始めたのは大学2年生のころ。在学中の合格を目標に、予備校の講座を受講しながら独学でテキストを読み込む日々が続いた。
「最初は自宅でも十分やれると思っていたんです。机もあるし、静かだし」と振り返るAさん。しかし現実は違った。家族の生活音や話し声が、思った以上に集中の妨げになった。
リビングの隣の部屋で勉強していると、テレビの音が壁越しに聞こえてくる。家族が話しかけてくる。夕食の準備の音、洗い物の音。それ一つひとつは些細なことだが、積み重なると「今日もうまく集中できなかった」という疲弊感になって残った。
カフェを試したこともある。しかし周囲の会話が気になるし、長時間いるのも気が引けた。「勉強に適した場所」を求めて、Aさんはいくつかの選択肢を探し始めた。
自習室との出会い──決め手は「早朝深夜」と「年中無休」
自習室KAKOIを知ったのは、受験関連のブログや口コミを調べているときだった。いくつかの自習室の中からKAKOIに決めた理由を、Aさんはこう話す。
早朝深夜でも使えて、年中無休で、料金が安かった。席や椅子も良さそうだったので、これなら長時間でも続けられると思いました。
22歳・大学生Aさん
公認会計士試験の受験勉強は、長期戦だ。試験範囲は膨大で、1日2〜3時間の勉強では追いつかない。Aさんが目指したのは、1日平均7時間の学習時間の確保。そのためには、朝早く行ける、夜遅くまでいられる環境が必要だった。
特に意識していたのが年末年始の期間だ。一昨年の年末、昨年の年末年始、そして今年の年始にかけて集中的にKAKOIを利用した。「他の受験生が休んでいる時期に差をつける」という意識は、長い受験期間の中でひとつの軸になっていた。
多くの施設が休みになるお正月も、KAKOIは変わらず扉を開けている。その事実だけで、Aさんには「ここなら逃げられない」という安心感があったという。
半個室という「逃げ場のない空間」がもたらした変化
自習室に通い始めてまず感じたのは、「やるしかない環境」に身を置く感覚だった、とAさんは言う。自宅にはソファがある。ベッドがある。スマートフォンの通知も来る。しかし自習室の半個室席に座ってしまえば、そこには勉強しかない。
自宅にいるとどうしても「ちょっと休憩」が長くなってしまう。自習室だと物理的に逃げ場がないから、自然と手が動くんです。
22歳・大学生Aさん
半個室の仕切りは、左右からの視線を遮断してくれる。隣の席が気になることなく、自分の世界に入り込める。それでいて、周囲からうっすら聞こえるページをめくる音、鉛筆の走る音が、「自分だけじゃない」という感覚を静かに届けてくれた。
Aさんが工夫したのは時間管理だ。スタディプラスというアプリで学習時間を記録し、毎日の進捗を可視化。さらに、イヤホンアラームを使って20分程度の仮眠を挟む習慣をつけた。7時間という長丁場を乗り切るための、自分なりのルーティンだった。
「仮眠の後は頭がすっきりして、また集中が続く。アプリで時間が積み上がっていくのが見えるのも、モチベーション維持になりました」。数字が増えるたびに、少しだけ自信がついた、とAさんは振り返る。
- スタディプラスで毎日の学習時間を記録・可視化
- イヤホンアラームで20分仮眠を制度化
- 年末年始もKAKOIに通い続け、ライバルと差をつける
- 半個室席で「逃げ場のない」集中環境をつくる
同じ本郷三丁目駅前店には、さまざまな背景を持つ利用者が集まっている。たとえば31歳の公務員のBさんは「自宅ではソファやベッドなど、勉強からの逃避場所が身近にある。自習室ではそうした逃避先を物理的に遮断できるため集中できる」と話す。Aさんと同じような気づきを、年齢や職業を超えた別の利用者も得ていた。
また、難関資格を目指す社会人が集まる空間には独特の緊張感がある。「周囲の利用者の物音が、適度にモチベーション維持に寄与してくれた」というBさんの言葉は、自習室という場の本質をついている。完全な無音ではなく、他者の存在が感じられる「ちょうどよい静けさ」こそが、長時間学習を支えるのかもしれない。
短答式合格、そして次のステージへ
積み上げてきた時間は、結果として返ってきた。Aさんは公認会計士試験の短答式に合格した。
合格後に振り返って、Aさんはこう話してくれた。
年末年始で差をつけられたところが大きいと思うので、この自習室には感謝しています。家で集中できる人なんて少数派だと思うので、少しでも不安なら環境を変えるべきだと思います。こればかりは自分の意思ではどうにもならない。
22歳・大学生Aさん
「自分の意思ではどうにもならない」──この言葉は重い。意志力や根性論で語られがちな受験・資格勉強の世界で、Aさんは環境の力を正直に認めた。そして実際に、環境を変えることで結果を出した。
公認会計士試験は短答式の先に、さらに難関の論文式試験が待っている。Aさんの目標は「もちろん論文式試験の合格」だ。短答式突破はゴールではなく、通過点に過ぎない。
それでも、1日7時間の学習習慣を作り上げ、年末年始も休まず通い続けた積み重ねは、Aさんの中に確かな自信として残っている。「ここまでできた」という実績が、次のステージへの足場になる。
6月の梅雨空の下、今日も自習室のドアを開ける人がいる。環境を変えることを決断した、その一歩が勉強の質を変える。Aさんの物語は、その証明だ。

